まえがき

最近の能登半島地震の痛ましいニュースを毎日のように見るにつけ、建物倒壊で亡くなっている方々が、お亡くなりになっている方々の約9割である事を見聞きすると、建物建築に携わっている一人として、胸が痛くなるのは私だけではないと思いますが如何でしょうか?

新耐震基準」1981年(昭和56年)導入後に新築・改築でも半数の木造家屋が「全壊」、能登半島地震|石川県珠洲市の現地調査での結果です。

直近では震度6の台湾地震があり、最近でも、能登半島地震の余震や未だに東日本大震災の余震だとかが北は北海道から南は沖縄まで頻繁に震度5~2迄の地震が起こっております。有識者も語っておりますが、庄内地方でも、いつ大地震が起こっても不思議ではない地震空白地域となっているようです。そんな中、酒田市・鶴岡市の新耐震基準導入後の建物はどのくらいあるのかを調べてみました。

あくまでも推測地に過ぎませんが、次から述べる事に該当する方は、「自分の所は大丈夫だ」根拠のない安心感で自己満足することなく、次は我が身という事もありますから、今すぐに耐震診断をし、必要に応じて耐震改修・耐震リフォームをご検討いただければと思います。

能登半島地震「新耐震基準」導入後の新築・改築した建物の半数が「全壊」

2024年1月6日の読売新聞の能登半島地震のオンライン記事によると、金沢大学助教(地震防災工学)村田晶氏の調査では、石川県珠洲市では1981年(昭和56年)の「新耐震基準」導入後に建てられたとみられる家屋が倒壊していたことが分かったとのことです。

新耐震基準を満たしていても、約3年間続く群発地震でダメージが蓄積し、倒壊に至った可能性がある」としている。

酒田市・鶴岡市の「新耐震基準」導入以降に建てられた建物の数は?

新耐震基準が導入された1981年から2000年までの19年間酒田市・鶴岡市の新築着工件数を推測すると、酒田市・鶴岡市共にそれぞれ少なく見積もっても年間平均400~450棟位の棟数が建てられたものと推測できます。

1981年~2000年までの19年間では、凡そ7600棟~8550棟の建物が建築されたと推測できるかと思います。

最新の酒田市・鶴岡市の住居のデータは以下の表のとおりですが、現存する建物の1/3〜1/4に該当する建物は「新耐震基準」導入後から2000年までに建てられた建物であり、耐震化が進んでいない建物であると思われます。

後でも述べさせて頂きますが、出来得れば1981年以前の建物は、耐震の観点から見ても建て替えされた方が良い建物と言えます。1981年から2000年までの間に建築された建物にお住まいの方は、すぐにでも耐震診断士(耐震診断技術者)に依頼をして耐震診断を受けて下さい。

何時熊本地震や能登半島地震と同じような規模の地震が、この地に発生するかもしれません。

上部構造評点で出来る事なら1.5以上、万やむを得ない場合でも最低でも1.0を確保するようにしてください。それがあなたの身を守り、家族の安全を確保する事だからです。

「私の所は大丈夫だよ」という根拠のない自信は危険だと思います

耐震基準改定の歴史を見てみると1981年に「建築基準法」改正により、新耐震設計法の内容は「震度6~7の地震に対して崩壊しない」程度の強度を確保することになっています。

しかしこれは、「建築基準法に則って造られた家」=「地震で壊れない家」というわけではありません。あくまで崩壊しない、すなわち「建物は壊れても居住者の生命だけは守る」ことを目標としたものが「建築基準法」ということなのです。

しかし、能登半島地震で石川県珠洲市では「新耐震基準」導入後に建てられた建物でも約3年間続く群発地震によりダメージが蓄積し、倒壊したものと思われます。

1981年に定められた新耐震基準以前に建てられた建物旧耐震基準と言います。

更に阪神淡路大震災を受け、2000年に建築基準法が改正され、以降の耐震基準を「2000年基準」と呼んでいます。

このように見ていくと、酒田市・鶴岡市にお住いの方々がどの年代、どの基準で建てられているのかが気 になるところです。皆さんの家が建てられた時代はどの時代になりますか?各年代別の建物のポイントを年代別に見ていきたいと思います。

旧耐震基準の建物の概要(1981年以前に建てられた建物)

旧耐震基準も厳密に分けると数回の改正はありましたが、大きくわけて2つの建物がありますそれが1959年の改正前と改正後の2つです。

1959年の改正前は、現在の基準と比較すると、 耐力壁(筋交い等)が完全に不足し、筋交いはボルト、かすがい、くぎで緊結という規定程度です。 耐力壁配置もバランスも配慮はされてず、接合部には柱をかすがいでとめる程度 の規定。いわば法的な規制もなく、また実際の施工の面においても耐震的な考えがある とは到底いえない年代となり、 耐震性はかなり低いです。
耐震補強をされていない場合は、早急に専門業者に精密診断を行い、 耐震改修を強く推奨する建物になります。

続いて1959年の改正〜1981年までの建物はどうでしょうか?

壁量規定の強化はされたが、現行基準との比較では、耐力壁(筋交い等)は大幅に不足し ていると言わざるを得ません。(筋交いではじめて平金物が使われ始めた時代です) もちろんこの年代で耐力壁配置バランスも考慮はされていません。構造接合部の納め方も耐震金物などはなく筋交いの柱頭、柱脚部に釘で留めているだけといったものが多い建物となります。 梁に羽子板ボルトなどが設置され始めた時代になりますが、柱や土台への配慮はされていない建物となります。その為、この後に起こる宮城沖地震において、柱が抜けてしまった事例が多数でました。 基礎に関しては、1971年に建築基準法改正があり、木造の基礎の規定が加わり、基礎の布基礎化が定められた為、1971年以前は布基礎でない基礎で家を建てられている可能性があります1971年の改正以降の建物も強度が不足しているケースが多いのが実情です。 熊本地震のような繰り返し震度7の地震が来るような大地震では倒壊する可能性は極めて高いと言わざるを得ません。

1981年の大改正(新耐震基準)以前の建物は、圧倒的に 壁量が不足しているので す。耐震診断を早急に行い、適切な耐震改修をすべきであると考えます。

新耐震基準の建物の概要(1981年~2000年に建てられた建物)

「新耐震基準」では、中規模地震ではほとんど損傷を生じないことを目標とし、 大規模地震に対しては、建物に損傷は残るものの、倒壊や崩壊はせずに建物内の人命を守れ るようにすることを目標として改正されました。 この「新耐震基準」の建物は、壁量が大幅に増えたことから一定の効果 はあり、事実、阪神淡路大震災でも一定の効果をみせました。 (被害の多くが旧耐震基準のものが多く、新耐震基準の被害は少なかった)

大改正の最大の特徴は必要壁量が大幅に強化されたことです。鉄筋コンクリート基礎での施工が始まったのもこのころです。 国は今までも、旧耐震住宅の耐震化に注力していますが、 思うように耐震化が進んでいないのが実情です。山形県内の耐震化率は83%で、特に酒田市・鶴岡市の住宅においては、耐震化率が山形市・米沢市に比べてもまだまだ低いようです。熊本地震で新耐震基準で建てられた住宅(1981年~2000年に建てられた建物)での不安が露呈されていながら、耐震化は手つかずとなっているのが現実です。

特に注意したいのが、2000年の改正(現行基準)前の、新耐震基準の建物です

2000年基準(現行基準)で建てられた建物概要

2000年基準で建てた建物は、「安心でしょう。」と言いたいところでが、熊本地震では、識者 の調査において、益城町の宮園、辻の城、惣領の各地区で205棟の調査結果では、1割が2000年基準住宅であり、その30%~40%が倒壊・大破していると報告書をあげていま す。

2000年住宅(現行基準の住宅)にはどこに弱点があるのでしょうか?

2000年基準の住宅で熊本地震の被害にあっている建物をみていると、設計の配慮不足や施工不備による事例が多くみられました。

ニュースなどでも取り上げられたのは「直下率」の問題です。

いわゆる二階の耐力壁を受ける壁が一階の同じ位置にないケースです。また一階と二階の 柱の位置が揃っていない建物が挙げられました。

これらは設計の配慮不足と言わざるをえない問題です。基準はクリアしていても配置計画 が間違っているケースです。 施工のミスも含めて、耐震を熟知している会社へ依頼することが大切なことがわかります。

施工では筋交いの入れ方も問題視されました。現行規定ではルールが確立されてこそいないですが、被害にあっている多くが筋交いの断面寸法が小さいものが多かったことがわかっています。このような配慮ができる施工会社への相談が大切ということになります。

これから建てる住宅に必要な事・耐震診断をして耐震改修(リフォーム)に必要な事

現実に能登半島地震のような大地震が酒田市・鶴岡市に発生した時に、皆様方お一人お一人が、どの程度の被害を許容できるのかだと考えます。

現行の「建築基準法(最低基準)と被害のギャップ」だけではなく、「建てる(または補強する)耐震性能と施主様の要望レベル(施主が許容できる被害レベル)に乖離」があることが、熊本地震・能登半島地震で露呈されたからです。

ほぼ無傷であった建物は、現行の2倍の壁量が入っていました。

これは現行の上部構造評点1.5倍の耐震最高基準である耐震等級3をはるかに超える水準です。

お施主様は建築基準法を守っているのだから全壊することはないだろうと考えている方が大半だとおもいます。が現実は壁量計算さえしていない建物が多いのが現状です。

しかしながら、耐震等級3で設計、施工をした建物の場合には、手直しをすれば住めるような住宅だという事です。

ここに大きな温度差があります。

連続して起きた熊本地震で現行基準(2000年基準)では倒壊1.25倍 の耐震等級2で全壊1.5倍の耐震等級3では軽微な被害になると結論づけております。

つまり、現行基準の1.25倍以上、1.5倍程度の計画が必須であるということがわかります。

まとめ!

クリエイト住宅では、新築の建物では、耐震等級3以上、耐震改修・耐震リフォームでは、上部構造用評点1.5以上の建物を推奨しております。

耐震等級3以上、上部構造評点1.5以上の建物を推奨

なぜ、このような事を推奨しているかは、先に述べさせて頂きましたので大部分の方はご理解いただけたのではないでしょうか?

そうなんです!「命より大切なものはないからです」大切な家族をお守りする為にも、耐震に優れた住宅で暖かい家で暮らすことが命を健康を維持する重要な事だからなのです。

くれぐれも新築するときの住宅選びを間違えないようにしてください。間違えて建ててしまった方はいち早く耐震診断を受け、耐震改修・耐震リフォームをして下さい。それがあなたとご家族を守る一番大事なことだからです。

現在、期間限定(2024年6月30日まで)で、地域限定(酒田市・鶴岡市他庄内地方町村在住の方)ではありますが「無料!耐震化住宅について相談会」を開催しております。相談者は1級建築士・1級建築施工管理技士・耐震診断・耐震改修資格者(W12-0775)の資格を取得している者が、皆様のご相談を承ります。尚、現在お住まいの建物の図面(平面・立面図>確認通知書等)があれば、具体的にアドバイスが出来ます。     

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